住宅を新築するときに利用できる「補助金」や「税制優遇」には様々なものがあり、調べるだけでも結構手間がかかります。また、せっかく利用できるものがあったとしても、知らなければ結果的に損をすることにもなってしまいます。
「家を建てること」は安い買い物ではありません。金銭的な負担を少しでも軽減していただくために、現在(2016年4月)利用できる「補助金」と「税制優遇」についてまとめました。一つ一つの制度には受給の為の条件等もありますので、ご自身が対象がどうか確認していただき、建築業者とも相談の上で積極的にご活用いただければと思います。
すまい給付金
「すまい給付金」は、消費税率の引き上げによる住宅取得者の負担を緩和させるために創設されました。
住宅ローンを使って家づくりを行った人(50歳以上の人は住宅ローンを使わなくても対象)で、収入が一定以下(消費税8%時には収入510万円以下、10%時には775万円以下が目安)の人を対象に、収入に応じて最大30万円まで(消費税が10%になった場合は最大50万円まで)の現金を、国から給付してもらえる制度です。
参考:国土交通省「すまい給付金」-すまい給付金とは
給付の対象者
- 住宅所有者:不動産登記上の持分保有者でその住宅に自分で居住している
- 収入が一定以下
- 住宅ローンを利用しないで住宅を取得する現金取得者については50才以上を対象とする
対象となる住宅
- 住宅ローンの償還期間(返済期間)が5年以上であること
- 床面積が50㎡以上の住宅であること
- 第三者機関の検査を受けた住宅であること(施工中等に第3者の現場検査を受け一定の品質が確認された住宅。住宅瑕疵担保責任保険へ加入した住宅・建設住宅性能表示を利用する住宅・住宅瑕疵担保責任保険法人により保険と同等の検査が実施された住宅)
- 住宅ローンを利用しない場合には上記に加えて、住宅金融支援機構のフラット35Sと同等の基準を満たす住宅であること(フラット35S適合証明書・現金取得者向け新築対象住宅証明書・長期優良住宅建築等計画認定証明書)
給付額
住宅の取得時に適用される消費税率に応じ、給付額が設定されます。収入額(都道府県民税の取得割額)によって給付基礎額が決まり、給付基礎額に登記上の持ち分割合を乗じた額(千円未満切り捨て)が給付されます。
ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業
2030年の住宅ネット・ゼロ・エネルギー化を目指すために、高断熱性能と高性能設備機器、計測装置等を組み合わせ、住宅の年間一次エネルギー消費量が「ネット(正味)でおおむねゼロとなる住宅(ZEH)」に対して、一戸当たり一律125万円受給できる制度です。
応募要項
補助事業の公募後に契約をし、補助事業に係る工事を工事決定通知が届いた後に着手した物件で、以下のすべてに該当するもの
- 年間の一次エネルギー消費量がネット(正味)ゼロであること
- 年間の一次エネルギー消費量(太陽光による創エネルギー分を除く)が、平成25年基準あるいは事業主の基準における基準一次エネルギー消費量に対して20%以上削減されていること
- 一定の断熱性能等を有すること
- 導入する設備が一定の要件を満たすこと
- 要件を満たすエネルギー計測装置を導入すること
- 定期的なエネルギー使用状況の報告ができること
- 太陽光発電システム等の再生可能エネルギーシステムを導入すること(売電する場合は余剰買取方式に限る)
- ※新築住宅の建築主や建売住宅の購入予定者が対象となり、賃貸住宅、集合住宅は対象外
地域区分 | 1・2・3地域 | 4・5・6・7地域 | 8地域 |
断熱区分(UA値) | 0.4以下 | 0.6以下 | 基準値無し |
地域区分 | 1・2・3・4地域 | 5地域 | 6地域 | 7地域 | 8地域 |
冷房期の平均日射熱取得率(ηA値) | 基準値無し | 3.0以下 | 2.8以下 | 2.7以下 | 3.2以下 |
補助金額
補助金額は一律125万円となりますが、1・2・3地域では外皮性能がUA値0.25以下、またはQ値1.0以下の場合は150万円になります(栃木県北地域は4地域)。
省エネ住宅ポイントとの併用はできません。
住宅ローン減税
返済期間10年以上の住宅ローンで、住宅の新築・取得・増改築をした際に、年末のローン残高の1%を所得税から10年間控除できる制度です。認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅では、年末の残高から1,000万円多く設定した額から1%を所得税から控除できます。
控除対象
- 住宅の新築・取得
- 住宅の取得と共にする敷地の取得
- 一定の増改築等
一般住宅 | 認定長期優良住宅 認定低炭素住宅 |
|
控除対象の借入金等の額 | 次の借入金等(償還期間10年以上)の年末残高 (1)住宅の新築・取得 (2)住宅の取得とともにする敷地の取得 (3)一定の増改築等 |
次の借入金等(償還期間10年以内)の年末残高 (1)認定住宅の新築・取得 (2)認定住宅の取得とともにする敷地の取得 |
対象住宅等 | 主として居住の用に供する (1)新築の住宅 床面積50㎡以上 (2)新築住宅の取得 床面積50㎡以上 (3)既存住宅の取得 ①床面積50㎡以上 ②築後20年以内(耐火建築物は25年以内)又は地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準(耐震基準)に適合すること (4)増改築等 床面積50㎡以上 |
(主として居住の用に供する) (1)新築住宅 ①認定長期優良住宅もしくは認定低炭素住宅であること ②床面積50㎡以上 (2)新築住宅の取得 ①認定長期優良住宅もしくは認定低炭素住宅であること ②床面積50㎡以上 |
所得要件 | 合計所得金額 3,000万円以下 | |
適用居住年及び控除期間 | 平成31年までに居住 10年間 | |
控除額等 | 別表 |
控除額
一般住宅
居住年 | 借入金の年末残高限度額 | 控除率 | 最大控除 | 合計最大控除 |
平成26年4月1日~平成31年6月30日 | 4,000万円 | 1.0% | 40万円 | 400万円 |
認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅
居住年 | 借入金の年末残高限度額 | 控除率 | 最大控除 | 合計最大控除 |
平成26年4月1日~平成31年6月30日 | 5,000万円 | 1.0% | 50万円 | 500万円 |
長期優良住宅・低炭素住宅の特別税額控除(投資型)
長期優良住宅や低炭素住宅の普及を目的として設けられた減税制度で、自己資金で適用することができます。性能強化費用に床面積を乗じ、650万円を上限に、その10%相当額が、その年分の所得税額から控除されます。控除しきれない場合には、翌年分の所得税より控除されます。
居住の用に供した年 | 対象となる認定住宅 | 標準的なかかり増し費用の限度額 | 控除率 |
平成26年4月1日~平成31年6月30日 | 認定長期優良住宅 認定低炭素住宅 |
650万円 | 10% |
認定住宅の標準的なかかり増し費用
平成26年4月1日から平成31年6月30日までの間に居住の用の供した場合、認定住宅の構造区分にかかわらず、1平方メートル当たり定められた金額43,800円に、その認定住宅の床面積を乗じて計算をした金額をいいます。
登録免許税の軽減措置
住宅を新築・取得した場合における所有権の保存・移転登記又はその住宅の取得資金の貸付け等を受けた場合における抵当権の設定登記に係る登録免許税については、平成29年3月31日まで(認定住宅は平成30年3月31日まで)の措置として、次のとおり軽減されます。
※適用条件は床面積50㎡以上
登記の種類 | 本則税率 | 一般住宅 | 認定長期優良住宅 | 認定低炭素住宅 |
所有権保存登記 | 0.4% | 0.15% | 0.1% | |
ローン抵当権 設定登記 |
0.4% | 0.1% |
不動産取得税の軽減措置
不動産取得税は、土地を売買、贈与、交換などによって取得した人、家屋を新築、増改築、売買、贈与などによって取得した人に、都道府県が課税する地方税です。
※適用条件は床面積50㎡以上240㎡以下の新築住宅及び新築未使用住宅
※適用期間は平成30年3月31日まで
本則 | 一般住宅 | 長期優良住宅 | |
住宅取得に係る課税標準の控除 | 全額 | 1,200万円を控除 | 1,300万円を控除 |
住宅取得に係る軽減税率 | 4% | 3% | |
住宅用地取得に係る軽減税率 | 4% | 3% | |
住宅用地取得に係る税額の軽減 | 次の多い額を控除 ①45,000円(150万円×税率(3%) ②土地評価額×住宅床面積の2倍(200㎡を限度)×税率 |
固定資産税の軽減措置
平成30年3月31日までに新築された住宅に対して固定資産税の軽減措置が適用されます。
※適用条件は床面積50㎡以上280㎡以下
本則 | 一般の住宅 | 認定長期優良住宅 | |
新築住宅の減額 | 全額 | 当初3年間 120㎡相当を1/2に | 当初5年間 120㎡相当を1/2に |
住宅用地の課税標準 | 課税標準を1/3に減額 |
都市計画税
平成30年3月31日までに新築された住宅に対して、都市計画税の軽減措置が適用されます。
※適用条件は床面積50㎡以上280㎡以下
一般の住宅 | 長期優良住宅 | |
住宅用地の課税標準 | 課税標準を2/3に減額 |