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ZEH(ゼロエネルギーハウス)とはどんな家?メリット・デメリットや補助金まとめ

2016.06.16

より快適な住環境を実現する住まいのカタチとして、「ZEH(ゼッチ)」とよばれる家が最近注目を集めています。
ZEHは国が普及を推進する省エネハウスの一つで、政府の基本計画によると、2020年までに新築注文住宅の過半数を、2030年にはすべての新築住宅において標準的な住まいのかたちにすることを掲げています。

そんなZEHの家で暮らすと、どのような生活が待っているのでしょうか。ZEHの魅力を紹介します。

ZEHとは?

ZEHとは、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略です。
簡単にいうと、気密性・断熱性を高めることで消費エネルギー量を抑えつつ、太陽光発電などによりエネルギーをつくることで、エネルギー消費量を正味(ネット)0にした家を、ZEHといいます。

ZEHの家には、エネルギー(電気)をつくる「創エネ」設備と、エネルギーの消費を少なくする「省エネ」設備が欠かせません。

創エネ:エネルギー(電気)を作る

ゼロエネルギーにするためには、家庭でエネルギーをつくりださなければなりません。

家庭でつくるエネルギーの代表的なものとして「太陽光発電」があります。太陽光発電を設置すると自動的に発電を行い、各電気設備を稼働させます。

余った電力は電力会社に売電を行い、発電量の少ない夜間や天候の良くないときだけ電力会社から電気を供給してもらいます。

自分で使う電力を自分で作ることは、CO2の排出を減らすことにもつながります。地球にも家計にもやさしい仕組み、それが太陽光発電システムです。

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省エネ:エネルギーの消費を少なくする

家庭内でエネルギーをいくら作り出したとしても、消費するエネルギー量がそれを超えてしまってはZEHとは言えません。

特に消費電力の大きい機器については、省エネルギータイプのものを設置し、高気密・高断熱の住宅と組み合わせることでZEHを実現することになります。

エアコン

エアコンには、エネルギーの消費効率を測るための「消費効率の区分」が、国立研究開発法人・建築研究所によって示されています。

このエアコン効率区分の『(い)』を満たす機種が、基準を満たすエアコンとなります。

参考:国立研究開発法人・建築研究所資料
「ルームエアコンディショナーのエネルギー消費効率の区分の判断」(PDFファイル)

 

LED照明

電気消費量が少なく、超寿命であることが特徴であるLED照明の利用が推奨されています。一般の家電店などでも普通に購入できるようになってきたこともあり、現在ではほとんどのお客様がLED照明を利用されています。

給湯設備

ガス・電気給湯器は高効率給湯器にすることで、エネルギー効率に優れ、CO2排出量を減らすことができます。環境にも家計にも優しい給湯設備となります。

HEMS

HEMSとは「Home Energy Management System」の略です。家で使うエネルギーを、センサーやコンピューターを使って制御し、省エネルギーを実現するためのシステムです。

省エネ家電や太陽光発電などは、単体で省エネルギー化を実現するための設備となります。HEMSはそれをさらに一歩先に進めて、家全体を省エネのために制御、最適化する仕組みになります。

ZEHのメリットは?

従来の住まいと比べて、ZEHの家には、さまざまなメリットがあります。
いくつかご紹介しましょう。

ZEHのメリット:光熱費がほぼゼロになり、家計に優しい生活が送れる

ZEHの家では、気密性を高め優れた断熱材を使用するほか、最新の省エネ機器を導入することにより、エアコンなどを使用しなくても快適に過ごせる住まいを目指します。
また、太陽光発電でつくった電気を電力会社に売ることで収益が得られるため、光熱費の大幅な削減が期待できます。

ちなみに、総務省統計局がまとめた「家計調査報告(2019年)」によると、2人以上の世帯の平均電気料金は1ヵ月あたり1万825円、年間で12万9,900円です。
一般家庭では10年で約130万円、30年だと約390万円の電気料金がかかることになります。

ZEHのメリット:蓄電システムを災害などの緊急時に使うことができる

電気代が節約できるだけでなく、災害などの緊急時にもZEHの家は有効です。
太陽光発電でつくったエネルギーをためておける蓄電システムを設ければ、周辺で大規模な停電が発生しても蓄電池に切り替えて電気が使えます。

近年は、台風や集中豪雨、大地震など自然災害のリスクが高まっています。こうした災害時にも、ZEHの家なら安心して暮らせる要素が多いのです。

ZEHのメリット:ZEH導入時に補助金制度がある

ZEHは、一般住宅と比べて建築コストが高いという一面もあります。そこで国は、普及を促すために補助金制度を用意しています。
補助金額は、1戸あたり70~125万円(2019年度の場合)。さらに、蓄電システムを設置すると1kWhごとに2万円の追加補助金もあります(追加補助金には上限があります)。

なお、補助金は国の予算枠があるため上限に達したら得られない場合もあります。
予算枠は年々増額していますが、2020年度は先着順になる予定ですから、できるだけ早めに動いた方が良いでしょう。

ZEHのメリット:CO2排出量が少なく、環境に優しい生活が送れる

ZEHの目的の一つは、一次エネルギー消費量を減らすこと。
一次エネルギーとは、エアコンや換気設備、給湯設備、照明器具など設備機器が消費するエネルギーのことです。
この消費エネルギー量を減らすことが、火力発電で生じるCO2などの温室効果ガスの排出量を抑えることにもつながります。

つまりZEHは環境に優しい家ともいえ、政府がZEHの普及に期待を寄せる理由の一つになっています。

ZEHのデメリットは?

ZEHには多くのメリットがある一方、注意しなければならないポイントもあります。あらかじめ、以下の点を理解しておくことが大切です。

ZEHのデメリット:建築コストが、一般の住宅に比べて高くなる

ZEHには、高性能の断熱材や最新の省エネ設備、太陽光発電システムの導入など、一般的な住宅と比べて建築コストが高い傾向があります。

ZEHの審査や補助金交付を行う一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)によると、建築コストは一般的な住宅より250~300万円くらい割高になるとしており、資金調達が課題となりそうです。

とはいえ、国の補助金を活用できますし、住み始めてから光熱費を削減できることを考えれば、建築コストを相殺できるでしょう。

ZEHのデメリット:家のデザインに制約が生じることも

ZEHの家を建てるときは、気密性を高めて室温を外に逃がさない工夫も必要です。
このため、窓やドアなどの開口部に一定の制約がかかる場合もあります。

たとえば、「開放感がある大きな窓を設けたい」という要望がかなわないケースもありますし、断熱性の高いサッシや窓ガラスに変更することで建築コストが高くなる場合もあります。

また、太陽光発電が効率良く電気をつくるには、屋根の形状や方角も検討する必要があります。建物のデザインに影響が出てくることも、あらかじめ考慮しておきましょう。

ZEHには、高気密・高断熱が重要なポイント

いくら省エネの高性能エアコンを設置したとしても、建物の断熱性能が低ければ、エアコンの稼働時間が長くなりエネルギー(電気)の消費量が多くなってしまします。

DIホームの高気密外張り断熱工法「seed」なら、エアコンの効き目が大幅に上がり、短時間の運転で大きな効果を得ることが可能です。

もちろん、ZEHの基準となる外皮性能:UA値(※1)も、「0.6以下(※2)」という基準値を上回っています。

※1:UA値とは…建物内外の温度差が1℃の場合の熱損失量の合計を、外皮等の面積の合計で除した値。この値が低いほど、熱が逃げにくく断熱性能が高くなります。

※2:改正省エネルギー基準の地域分けで、栃木県北地域が該当する4地域は0.6以下が基準となります。

ZEHに該当する住宅には補助金が!

先述の通り、ZEHの家を建てる際、国は補助金制度を用意しています。

補助金額は国の予算枠に応じて決まるため、毎年変更されます。
2020年度の補助金については、3月に経済産業省資源エネルギー庁から発表がありましたが、正式に決まったわけではありませんので、以下は2019年度の情報をもとに説明します。

なお、一口にZEHといってもいくつかの種類があり、補助金の額も異なります。
ここでは、注文住宅(戸建住宅)における代表的な4つの補助金を紹介しましょう。

ZEH

ZEHロードマップの「ZEHの定義」の条件を満たし、一次エネルギー消費量が省エネの基準の20%以上削減できることを目標とした、標準的なZEHです。

補助金は70万円(2020年度は60万円の予定)。
蓄電システムを導入した場合は1kWhあたり2万円の追加補助金もあります(追加補助金の上限は20万円)。

ZEH+(ゼッチプラス)

ZEH+は、ZEHの定義を満たし、一次エネルギー消費量が省エネの基準の25%以上削減できることを目標とした家です。
また、標準的なZEHよりも優れた断熱材を用い、HEMS(ヘムス)あるいは電気自動車の充電設備などを導入していることも条件に加わります。

補助金は115万円(2020年度は105万円の予定)。蓄電システム導入による追加補助金は受けられませんが、後述する「先進的再エネ熱等導入支援事業」の併願は可能です。

ZEH+R(ゼッチプラスアール)

ZEH+の要件に、防災に関する設備を加えたのがZEH+Rです。
たとえば、停電時でも自宅の消費エネルギーをまかなえる容量4kWh以上の蓄電システムを導入していること、太陽光熱利用温水システムを導入していることなどが条件となっています。

補助金は125万円(2020年度は115万円の予定)。蓄電システムを導入した場合は1kWhあたり2万円の追加補助金もあります(追加補助金の上限は30万円)。

先進的再エネ熱等導入支援事業

ZEHまたはZEH+の基準を満たし、環境性に優れた建材や設備を備えた住まいに対して用意された追加補助金です。
たとえば、CLTという厚型パネルの断熱材や地中熱ヒートポンプシステム、太陽熱集熱器が一体となった太陽光発電システム(PVTシステム)などの建材・設備を導入していることが条件です。補助金は最大90万円(2019年)です。

なお、先進的再エネ熱等導入支援事業のみの補助金は受けられず、ZEHまたはZEH+と併願することになります。

ZEH補助金のスケジュール

補助金を得るには、申請期間内に申し込む必要があります。

申請期間は年度によって異なり、2020年度については「1次公募が5月7日から行う」ことが発表されています。
2020年3月現在で詳細は決まっていないため、ここでは2019年度の情報をもとにZEH補助金のスケジュールをまとめています。

2019年度の申請期間は、以下の3回が予定されていました。

・一次公募:2019年6月3日~2019年6月7日
・二次公募:2019年7月1日~2019年7月5日
・三次公募:2019年8月5日~2019年8月9日

実際には申請者が少なかった公募期間もあったことから、最終的には五次公募まで実施されています。

2020年度は4回に分けて公募を行うと発表しています。
また、2019年度は抽選によって補助対象者を決めていましたが、2020年度は先着順になる予定です。

注文住宅でZEH補助金を貰う場合はいつから動くべき?

補助金を申請する際には、これから建てる家がZEHの基準を満たしているかがわかる資料も必要です。
つまり、申請期間までに建築会社と間取りや設備などの打ち合わせを済ませ、建築確認申請ができる状態まで準備しておく必要があります。

建築会社との打ち合わせ期間は、個人差もありますが、だいたい3ヵ月前後はかかります。
2019年のスケジュールを例にすると、一次公募に申請する場合、その3ヵ月くらい前の3月ごろには建築会社を決めて打ち合わせを始める必要があります。
土地探しから始めるなら、さらに前から動き出さなければ間に合わないでしょう。

このように、申請期間から逆算して、できるだけ早めに動き出すことがポイントといえます。

ZEH補助金の申請方法や注意点

ZEHで補助金を受ける条件の一つに、一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)に登録された建築会社(ZEHビルダー)が設計や建築を手掛けることが求められています。
ZEHビルダー以外の建築会社は、たとえZEHの基準を満たす家であっても、補助金が受けられないので注意しましょう。

補助金の申請は、ZEHビルダーが対応するのが通例です。
断熱や気密に関する難しい計算なども、建築会社が試算したうえで申請してくれますので、安心してお任せしましょう。

なお、補助金を申請するときは「工事を着手する前」であることも条件になっています。
たとえば、一次公募で通らず二次公募を目指す場合、その間に工事を着手すると補助金の応募資格を失うことになります。
工事は補助金の交付が決定した後に始めることになりますが、そうすると完成時期も遅れるので、スケジュールの確認が必要です。

まとめ

ZEHの家で暮らすと、エアコンの使用回数も少なくなり、光熱費の削減が期待できます。
電気代を気にしながらエアコンを使うのを我慢するといったこともなくなり、一年を通してストレスフリーに過ごせることも、ZEHの魅力です。

一方で、建築コストが割高になるため資金をどのように集めるかもポイントになります。
その一助となる国の補助金も用意されていますので、上手に活用しながら夢のマイホームを手に入れましょう。