家が完成して実際の生活がはじまると、最初は十分と考えていた収納も、少しずつ物であふれてきます。
家を設計するときに「収納はたくさん欲しい!」と単純に考えがちですが、多くあれば良い、というものでもありません。収納する物を、「いつ」「どこで」使うのかをしっかり考えて、最適な収納を設けることが、整理整頓がしやすくいつもキレイな室内を保つための秘訣です。
衣類の収納場所
衣類は各部屋に設けたクローゼットに収納しなければ、と限定する必要はありません。それぞれの衣類の使い道に合わせた収納場所を考えると、使うときにも、しまうときにも、便利になります。
例えば、コートやジャケットなど外出時に使う衣類は、玄関近くに収納場所を設けるのはどうでしょうか。下着などは着替えをする場所、つまり脱衣所に収納場所を設けたりすると、とても便利です。
2階に寝室と子ども部屋があるのなら、2階の廊下に共有のクローゼットを設けてみてはいかがでしょう。家族の衣類をそこに収納するようにすれば、各部屋の収納にも余裕ができて、部屋の整理整頓もしやすくなります。
収納する場所が集中していれば、洗濯後に衣類を収納するときも楽チンになって、家事の手助けにもなります。
クツの収納場所
玄関は家族だけではなく、お客様も通る場所なので、常にキレイな状態を保ちたいところです。しかし、普通の下駄箱の場合、帰宅の度に収納するのは意外と面倒で、クツが玄関に出しっぱなしになりがちです。子どもがいると、脱ぎ散らかした状態にもなりかねません。
常にキレイな玄関にしておくために、クツの収納場所として、シューズクロークを考えてみてはどうでしょう。シューズクロークとは玄関横に設けられた、靴を収納する場所のことです。
シューズクロークには靴のまま直接出入りできるようにします。玄関とは分けられた空間なので、玄関には家族の靴がない状態を保つことができます。
また、靴だけではなく傘やベビーカー、カバンコートなども収納することができます。
収納する物をあらかじめイメージして、可動式の棚やハンガーポールなどもあらかじめ設置しておくと、整理整頓もしやすくなります。
食品と鍋や調理器具の収納場所
調理器具には、よく使うものと、普段はあまり使わない特殊なものがありませんか? あまり使わない鍋や調理器具でシンクの収納を占領されてしまうと、普段使いたい器具を収納するにも取り出すのにも時間がかかって、家事の手間が増えてしまいます。
そんなときには、食材や調理器具を収納するパントリーを設置してみてはどうでしょう。パントリーとは、食材や調理器具を収納しておくための部屋のことです。
普段あまり使わない食材や飲料の他、調理器具や鍋なども置いておくことができるので、手元には必要な物だけを準備すれば、調理のときにもシンクを広く使うことができます。キッチンのスペースに余裕ができるので、朝食をつくりながらお弁当をつくったり、片付けをしたりなど、家事を効率的にすることができます。
ゴミ・古新聞の収納場所
家の間取りを設計するときに、意外と盲点なのがゴミの収納場所。ゴミを置くために広いスペースを使うことがもったいない、そこには違うものを収納するのに使いたいと考えがちです。ところが実際に生活を始めると置き場所に困り、キッチンの隅にゴミ袋がいつもあって、家事動線の邪魔になったり、見栄えが悪くなったりしてしまうことがあります。
そんな失敗をしないためにも、あらかじめゴミを捨てる場所、保管しておく場所を考えておきましょう。
初めから分別してゴミを捨てる事を想定し、できるだけ広いスペースを確保するとよいでしょう。臭いが出る生ごみなどは、密閉度の高い、専用のごみ箱が必要です。キッチン収納の一部にゴミ箱を置けるスペースがつくって、その場所に合った密閉率の高いゴミ箱を選びましょう。
臭うものでなく、ある程度たまってから捨てるようなもの、例えば古新聞や乾電池などは、パントリーやシューズクロークなどに保管しておくと良いでしょう。家事動線にも影響せず、あまり目立たずに置いておくことができます。
実際の生活を想像して収納場所を考えましょう
無計画に収納場所を用意してしまうと、使い勝手が悪かったり、収納できないものが出てきたりして、毎日の生活に影響が出てしまいます。家族みんなが過ごす姿を想像しながら、過ごしやすくて便利な最高の収納を考えてみましょう。