たくさんの光が差し込み、気持ちの良い風が抜ける空間で、家族団らんのひと時を過ごしたり、家事をこなしたり、子どもと遊んだり・・・
家にいる時間が長い主婦の皆様にとって、「家の中に差し込む光」と「家の中を通り抜ける気持ちの良い風」というのは、気持ち良い毎日を過ごすためには欠かせないものですよね。これから家を建てようと考えている方の中には、心地よい光と風を想像している方も多いのではないでしょうか。
この“光”と“風”について、「大都会の狭小地に家を建てるわけではないから平気でしょ」と軽く考えていると、建ててから後悔・・・、といったことにもなりかねません。
どのように光を取り込み、どのように風を通すかは、設計段階から考えていく必要があります。もちろん、家の設計は資格をもった設計士が行うことがほとんどですが、新しい家で暮らすイメージを一緒に考え、設計士へ伝えられるようにするために、風通しと採光についての考え方をここで説明したいと思います。
風通しについて
風通しの良い家にするためには、家の中をどのように風が流れていくかをイメージして間取りを考えていく必要があります。風の流れを作るためには、家の中にどこから風が入って、どこから風が出ていくのか、風の「入口」「出口」を確保しましょう。
風の出入り口と、流れる場所を考える
風の入り口をいくら大きくしたとしても、出口がなければ風通しの良い家にすることはできません。できる限り、「入口」と「出口」の大きさを同じくすることが大切です。
また、家を建てる場所にもよりますが、風は比較的同じ方向から吹きます。風が吹く方向を考えて、入口から家全体を通り抜けて出ていくことをイメージした設計が必要です。
吹き抜けがある場合には、上から下へ風が抜けていくことをイメージすると良いでしょう。
風を捕まえる建材の採用
塀や隣の家との間にできた通路などは、風の通り道になることが多くあります。このような場合、風を正面から受け止めることができません。こういった風を家の中に取り込みたいときには、通常の「引違いのサッシ」ではなく、縦すべりの窓を採用すると良いでしょう。風の吹く方向に合わせて設置すれば、上手に風を捕まえることができます。
また、窓を開けて室内を見られたくないような場所では、自分で開閉の具合を調整することができる横すべりの窓を採用すると良いでしょう。室内を隠しながら、空気の入れ換えをすることができます。窓を上部に引き上げるので、多少の雨の日なら室内を濡らさずに窓を開けておくことができます。
このように、どのような役割の窓なのかによって、窓の種類も適切に選ぶことが、風通りのいい家にするために必要な考え方となります。
採光について
夏と冬の太陽の高さの違い
夏と冬では太陽の高さが異なります。そのため、夏と冬の両方を考えてプランニングする必要があります。
夏は光を直接受けてしまうと、室内の温度にも影響してしまいます。冷房の効率にも関わってくるため、光を遮る工夫が必要になります。高い日差しを避けるためには、軒を大きく(深く)とったり、庭木の樹木により日差しを遮ったりするなどの対策が効果的です。
最近では、グリーンカーテンを使って日差しを遮っているご家庭も多く見かけます。グリーンカーテンとは、窓際で自然の“つる性”の植物を網に絡ませて、カーテン状に育てるものです。自然の緑は、見た目にもとても涼しげで気持ちがいいものです。
冬は、夏とは逆に、太陽の日差しをできるだけ多く室内に取り込むことで、暖房器具に頼らずに室内温度を上昇させることができます。夏は日差しが直接入るのを防いでくれた軒が、太陽の位置が低い冬ならば軒に邪魔されることなく日差しを取り込んでくれます。また庭木に落葉樹を植えれば、夏は日差しを遮ってくれた葉が、冬には落ちてしまうので、日差しを遮ることなく家の中へ取り込んでくれます。
高い位置に欄間(らんま)窓を設置して明るさを確保
「小さくても南向きに窓があれば部屋の明るさは大丈夫だろう」と思っていると、住みはじめてから「考えていたよりも部屋が暗い」ということに気が付くことも良くあります。原因として一番考えられるのは、窓の高さです。
窓は高い位置にあるほうが、光を部屋の奥まで取り込みやすくできます。現在ではサッシの高さは2.0m以上が標準的ですが、防犯や外から見えてしまう事を考慮して、そこまで大きなサッシにしたくないこともあるでしょう。そんなときには、欄間(らんま)窓の設置を考えてみてはどうでしょうか。
欄間窓とは、通常のサッシの上部に設置する横長の窓のことです。開閉ができるタイプの欄間窓にすれば、風通しの面でも効果的です。
壁紙や床材の色選びも重要なポイント
家具や壁紙・床などの“色”も、部屋の明るさに大きく影響します。
壁紙や床の色は、暗い色を使わずに、できるだけ白っぽい色にしましょう。光が反射して、部屋全体が明るくなります。出窓のカウンターなど直接光が当たる場所には、特に光が反射しやすい色や素材にすることがポイントです。
暗くなりがちなキッチンへの採光
キッチンは、吊り戸が邪魔をして光を遮り、暗くなりがちな場所です。
対面キッチンやアイランドキッチンでは背面に窓を設置することで、光を取り込むことができます。壁づけにキッチンを設置する場合には、吊り戸との間にサッシを設置できるでしょう。上手に工夫することで、光を感じながら台所で気持ち良く家事をこなすことができます。
また、勝手口から光を取り込むことも、明るいキッチンにするポイントです。
Fix窓を使って明るさを確保
Fix窓とは、ガラスをはめ込んで動かすことができない、つまり開閉ができない窓のことです。使い方によっては、明るさの確保だけではなくデザインのアクセントにもなるので、上手に使って明るさを確保しましょう。